2014年8月6日水曜日

旧三井物産横浜支店倉庫

8月5日に開催された旧三井物産株式会社横浜支店倉庫の保存を考える緊急シンポジウム」(公益社団法人 横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ)主催)に参加しました。

詳細は日本建築学会関東支部による保存活用要望書(リンク先pdfデータ)にまとめられており、今後シンポジウムを受けてヨコハマヘリテイジからも緊急アピールがまとめられることになっています。

関東大震災前から残る建築物として、それだけでも貴重な建築ですが、さらに以下の点で横浜にとって欠かせない建築であることがわかりました。昨年三井物産から取得した所有者は今月中には取り壊す予定とのこと。

・倉庫も事務所ビルも日本のRC造の先駆者、遠藤於菟により設計された建築であること。
・倉庫はレンガ、木、RCの混構造であり、実験的かつ全RC造(事務所ビル)への移行期の建築であること。
・事務所ビルの方は日本最初の全RC造によるオフィスビルであること。
・関東大震災以前は個々の商社が自前の倉庫に生糸を保管し取引していたが、このことがわかる唯一の建築であること。
・関東大震災から3週間足らずの間に貿易商たちは生糸取引を再開した(横浜復興誌)が、被災を免れた倉庫内の生糸が再開の足がかりになった可能性があること。

9月1日は関東大震災が発生して91年目を迎える日です。
大震災も戦災(空襲)も耐え抜いて復興を支えてきた建築、生糸貿易の遺産が、9月1日を前に所有者の手によって取り壊されるかもしれないというのは横浜にとって悲劇です。

先人たちの労苦と横浜の発展の歴史に、一人一人の市民が関心を寄せることが何より重要であることを痛感しました。そして、今回の件が、旧三井物産倉庫を残すか残さないかだけに終始してしまうと、将来また同じ問題を引き起こしかねない危機感も感じました。

接収解除後の融資第一号防火帯建築「萬国貿易ビル」も、今年に入り、人知れず姿を消していました。

旧三井物産横浜支店倉庫(左)と事務所ビル(右)。関東大震災後に生糸検査所が設けられる前は、個々の商社が自前で保管倉庫を持っていた。



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